ホームへ

■16.近代史■


20世紀前半を舞台にした作品を書いているので、適当に近代史を勉強したりしなかったり。

学生の頃は近代史チンプンカンプンだったんですが。大人になってから見てみると、けっこう面白いですな。

なんていうか、明治から昭和にかけての日本はステキすぎ。すげえカッコイイです。アメリカに力づくで開国され、弱肉強食の帝国主義のなか、頑張って富国強兵に励み、極東の島国が列強から一目置かれるまでに。あの大国ロシアさえ負かしたんですよ。(ズタボロだったけど)

白人至上主義が当たり前だった当時、いじめられっ子アジアのなかで、欧米列強に負けなかった日本。植民地にされず、理不尽な条約を覆し、黄色人種の意地を見せた日本。清が大国の安寧のうえに旧態依然としていたのに、島国日本は鎖国していたのが嘘のように一気に近代化していきました。もっとも清ほどばかでかい国になると、日本のような維新もおいそれとは出来なかったでしょうが。西太后のおばちゃん怖すぎるし。

とはいえ、ロシアも中国以上にでかいけど、あそこは革命起きたんだよなあ……。もっとも一日にして革命がなったわけじゃなく、長年に渡る近代化の遅れや統治の無能なんかがずるずると蓄積して、起こったわけだけれど。

アジアの期待の星日本が、大東亜戦争で掲げた大儀が泣ける……。五族共和、アジアの同胞の独立と平和を勝ち取るため、鬼畜米英をうち払おうってんだから……。もちろんそれはあくまで建前で、本音は国益のためだったんだろうけど。でも、前線で命懸けで戦った兵士は、日本の正義を信じていたんだろうなあ。

まあ、どんな戦争でも国それぞれ、正義を振りかざすけれども。でも日本が最後まで世界を敵にして頑張ったのは、ただただ国益や自分のためだけじゃないような気がする。ここで日本が負けたら、アジアで白人に勝てる者がいなくなってしまうもの。日本は自国のためだけでなく、アジアのためにも、なんとしても負けられなかったんじゃないでしょうか。五族共和は、ただの建前ではないような気がする。

とはいえ、国力の差はどうしようもなく、日本は敗れてしまうのですが。

でも、日本はやっぱり強い。敗戦の焼け野原から、世界でもトップクラスの技術経済大国に見事復興しましたね。昭和のおじちゃん(おばちゃんも)は明治の人たちに負けないくらい、頑張ってくれたのです。まあ、復興にはアメリカの助けもありましたが。

1964年には、当時の世界最速の新幹線(210km/h)を飛ばしちゃってます、日本。時に、昭和39年。敗戦から20年経ってません。わずか20年足らずで、焼け野からここまで復興するなんて、いくらアメリカの助けがあったとはいえ、すごすぎる思いませんか? 世界最速ですよ? 親分のアメリカより速いんですよ? まさに、日本の新幹線は世界一ィィィィ! ですよ。

近代史を学ぶと、日本人であることに誇りがもてますな。こんなに勤勉で強くて優しい民族は、世界でも類を見ないのではないでしょうか。歴史の先生には、日本がアジアに侵略戦争をしかけたと、若い学生らににあまり吹聴してほしくないです。たしかに、侵略という面もあったかもしれないけど、日本がアジアに与えた影響は、マイナスだけじゃないのに。というより、日本で日本史を教える教師なら、日本に誇りを持てるような教育をすべきではないでしょうか。だってここは日本なんだから。

さて、第二次大戦といえばはずせないのが、日本の同盟国、ドイツ。この国もかなりの頑張り屋さんで、勤勉な国民性が、日本と似ています。近代は白人至上主義だったようですが、白人なら皆うまい汁と吸っていたかというとそうでもなくて、白人同士でも血で血を洗う争いがあったわけです。というより、白人同士のほうが、争いは熾烈だったやも。やっぱり弱肉強食なんですね。第一次大戦後のドイツは、かなり可哀想な状態にあって、戦争に負けておもいっきり「弱肉」にされていました。べらぼうな賠償金をふっかけられ、とんでもないインフレに見舞われ。

そこに現れたちょび髭のカリスマおじさん。ユダヤ人をスケープゴートにしながらも、ナチスはいじめられっ子だったドイツを強力に拡張していきます。弱肉にされ追いつめられたドイツの大反撃です。ドイツの快進撃を支えたのは、第一次大戦後の逆境と、ドイツ国民の勤勉、そして技術でした。ドイツ破竹の勢いを実現させた電撃戦の戦法は、近代兵器戦車の賜物。敗戦で軍備を制限されながら、ひそかに優秀な兵器を開発していたのです。さすがマイスターの国、ドイツです。

けれど、そんな強いドイツにも強敵が。

ソ連とイタリアです。

ソ連はともかく、なぜ同盟国のイタリアが敵だったのか……いや、一応味方だったんですが、はっきり言って敵よりたちのわるい味方だったんですね。とにかくこのイタリアは、よけいなことしかしやがらねえ。勝手にエジプトを攻めて負け、ドイツに泣きつき、ドイツはクソ忙しいなかイタリアを助け、そしてまたイタリアはギリシャを攻めて負け、またドイツに……そしてドイツはソ連への作戦が遅れ、不利な状況で戦うことに。

イタリア、おまえは本当にドイツの同盟国なのか? 本当は敵じゃないのか? というくらい、イタリアは弱くて弱くて、ドイツの足を引っ張りまくります。しかも、全力で戦って負けたならまだしも、遊んでいて負けてますイタリア。一隊丸ごと脱走するわ戦時にグルメしてるわ。軍隊なのに戦う気ありません。陽気なイタリーは戦時も脳天気だったようで、個人としてはこういう国民性は面白いですが、戦時の軍隊としては役に立ちません。

イタリアの尻拭い、ソ連の物量、冬将軍、ヒトラーの判断ミス……いくつかの要因が絡まり、ヨーロッパを席巻したドイツ第三帝国は、ついに連合軍に敗北します。そしてドイツは東西に分裂。しかも、あれだけ足を引っ張ったイタリアは、戦争終結時にはちゃっかり連合国側に回っていました。可哀想すぎるドイツ。

もしドイツがイタリアと組んでいなかったら、歴史は変わっていたかもしれません。ていうか、多分変わってた。

ドイツにとって、連合国よりもソ連よりも手強かったのは、実はイタリアだったのかもしれません。おそるべし陽気なイタリー。けれども、イタリア軍の無能さは、ユダヤ人には感謝されているかもしれません。

しかし、ナチスのユダヤ人迫害をはるかに上回るのが、ソ連の自国民虐殺。

スターリンに粛清された人の数は、2000万と言われています。第二次大戦の総戦死者数(3〜4000万)の半数以上です。ちなみに、スターリンの前任のレーニンも、粛清をしていました。毛沢東も2000万は殺していますし、カンボジアのポルポト政権は、自国民の半数近くを殺しまくりました。

共産圏で処刑された人の数は、戦争の総死者数を軽く上回るとか。統計によっては、一億人越が共産主義で殺されたそうです。

格差のない平等社会・共産主義は、戦争よりも怖いです……。

なんでこんなに共産主義は国民を虐殺しまくるのかというと、きっと

私有財産の否定→富は皆で分配→努力を評価しない→生産効率は上がらない、国民は富まない→不満→不満を抑える恐怖政治

という構図と、

富は皆で分配→分配する者が権力を持つ→権力維持(失脚すれば死ぬから必死)→逆らう者は皆殺し

という構図のためではないかなと。どこでも権力闘争はあるけれど、共産主義の場合とくに酷いのは、資産の平等というその構造自体に原因があるのかもしれません。

あと、共産主義は理想主義的であり、理想は偏狭。綺麗事は、弱さや欠点を許しません。世の中を善と悪の二つに分けてしまって、善以外を認めない。理想にそぐわないのは、悪い奴だからだということになり、そんな人間は居てはいけないということになってしまう。理想を国民に押しつける究極が、共産主義なのかもしれません。

人間が完璧でない以上、完璧な社会なんてありえ無いのに、理想をごり押しするから、戦争よりも悲惨なことになってしまう。どこかで自分も相手も許さないと、理想ばかりでは息が詰まってしまいますね。

皆平等、格差を無くすというのは、一見よさげですが、机上の空論なのかも。経済学者が株に手を出すようなもので、理論と実際は違います。共産主義は、研究や趣味に止めておいて、実際の社会には適用しないほうがよろしいかと思います。理想論よりも、歴史や死んだ人の数が、なによりも確実に現実を証明しています。

づらづら書いてきましたが、作品に使うのは、ソ連と日本、あと中国くらいです。ヨーロッパは多分、作中でかすりもしません。でも近代史が面白いので、作中では使わないであろうトコも、覗いてしまったり。というか、大戦を調べると、ヨーロッパのことばっかりです。近代史は、欧州史ともいえますね。

そして調べても結局、作中の都合で史実をねじ曲げたり。

話を面白くするためなら、史実や年代くらい、平気で変えちゃいますよ。あと、話の都合でも曲がる曲がる。

いいの。フィクションですから。


次へ→17.フリーゲーム

制作日記トップへ ホームへ

 

inserted by FC2 system